上肢機能障害の後遺障害等級と慰謝料について|後遺障害・後遺症でお困りの方は弁護士法人心まで

上肢機能障害の後遺障害等級と慰謝料について

  1. 1 上肢の機能障害とは

    交通事故の被害にあわれた方には,上肢の機能に障害を残される方もいらっしゃいます。

    上肢の機能障害とは,主に上肢における3大関節(肩・肘・手首)の動きの障害です。

    上肢の機能障害は,可動域制限の程度や障害が両上肢に生じたか,一方の上肢に生じたかによって等級が認定されます。

    ただし,3大関節ではないですが,上肢前腕の主要運動である回内・回外運動が制限されている場合も,ドアノブを回す,鍵をかけるなどの日常生活の動作に欠かせない重要な動作であることから,関節の機能障害に準ずるものとして評価できるとされています。

    また,動揺関節(関節の安定性機能が損なわれたために,関節の可動性が正常より大きく,あるいは,異常な方向に運動可能になったものをいいます。)も機能障害として取り扱われることとされています。

  2. 2 上肢の後遺障害等級

    それでは,上肢の機能障害は,どのような等級の種類があるのでしょうか。

    まず,関節機能障害については,①両上肢の用を全廃したものが第1級,②一上肢の用を全廃したものが第5級,③一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したものが第8級,④一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すものが第10級,⑤一上肢の三大関節中の一関節の機能障害を残すものが第12級となります。

    次に,動揺関節については,①常に硬性補装具を必要とするものが第10級(著しい機能障害に準じる),②ときどき硬性補装具を必要とするものが第12級(単なる機能障害に準じる),③習慣性脱臼が第12級(単なる機能障害に準じる)となります。

  3. 3 後遺障害慰謝料

    それでは,それぞれに対する慰謝料は,どの程度になるのでしょうか。

    交通事故事件は,裁判例が集積されており,後遺障害の等級に応じて,慰謝料の目安がある程度決まっています。具体的には,第1級で2800万円,第5級で1400万円,第8級で830万円,第10級で550万円,第12級で290万円程度となります。

    後遺障害が認定された場合には,後遺障害が残存することによる肉体的・精神的苦痛に対する賠償金である後遺障害慰謝料とは別途に,後遺障害が残存することによる労働能力の喪失に対する賠償金である後遺障害逸失利益が認定されます。

    このように,上肢の機能障害とひとくちに言っても様々な種類があり,ご自身の障害にあった適切な後遺障害を獲得するためには,交通事故に精通している弁護士に相談することが重要です。

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